これまで200名以上のクライアントを指導してきて、ずっと感じていたことがあります。
それは、
「元気な人ほど結果を出しやすい」
ということです。
ここで言う元気とは、単に明るいとかポジティブだとか、そういった精神論ではありません。
朝から活動的で仕事もこなし、トレーニングもしっかりできる。多少忙しくても体調を崩さない。ハードなトレーニングをしても翌日には回復している。食事管理も継続できる。
そんな生命力のようなものです。
もちろんボディメイクの結果は食事やトレーニングによって左右されます。しかし現場で長く指導していると、同じメニューをやっていても結果が出る人と出ない人がいます。
その差は何だろうと考えた時に、一つの答えとして腑に落ちたのが「回復能力」でした。
どれだけ優れたトレーニングでも回復できなければ意味がありません。どれだけ良い食事をしても疲労が抜けなければ継続できません。
そしてその回復能力に深く関わっている可能性があるのが、今回紹介するNRF2です。
筋トレは身体を強くするが、同時に身体を傷つける
筋トレは健康的な習慣として知られています。しかし身体の中で起きていることだけを見ると、トレーニングはストレスです。
筋繊維は傷つきます。エネルギーは大量に消費されます。炎症反応も起こります。さらに活性酸素も発生します。
私たちはトレーニングによって一度身体に負荷を与え、その負荷から回復する過程で強くなっています。
つまり身体を変える主役はトレーニングではなく回復です。
筋肉が大きくなるのも回復。脂肪が落ちるのも回復。パフォーマンスが向上するのも回復。
そう考えると、回復能力の高い人が結果を出しやすいのは当然なのかもしれません。
回復を邪魔する酸化ストレスと炎症
ここで重要になるのが酸化ストレスです。
酸化ストレスとは簡単に言えば身体のサビのようなものです。私たちは呼吸をするだけでも活性酸素を発生させています。
さらに、
- 高強度トレーニング
- 睡眠不足
- 精神的ストレス
- 飲酒・喫煙
- 紫外線
- 加工食品中心の食生活
などによって活性酸素は増加します。
活性酸素は悪者と思われがちですが、実は身体に必要な役割もあります。免疫機能や細胞のシグナル伝達などに関与しているため、完全になくせば良いものではありません。
問題は過剰になることです。
活性酸素が増えすぎると細胞へのダメージが蓄積し、炎症が長引きます。その結果、
- 疲労感が抜けない
- 筋肉痛が長引く
- トレーニングの質が下がる
- 代謝が低下する
といった問題が起こります。
現場でも、なかなか結果が出ない人ほど常に疲れているケースは少なくありません。
NRF2とは何か?
そこで注目されているのがNRF2です。
NRF2(Nuclear factor erythroid 2-related factor 2)は、細胞を酸化ストレスや炎症から守る生体防御システムの司令塔とも言われる転写因子です。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば、
「身体を守るスイッチ」
です。
身体がストレスを受けるとNRF2が活性化し、抗酸化酵素・解毒酵素などの産生を促します。
具体的にはHO-1(ヘムオキシゲナーゼ-1)やグルタチオンといった強力な防御システムの産生を促進します。これらは細胞を傷つける活性酸素を無害化し、身体を酸化ストレスから守る働きを持っています。
つまりNRF2は外から抗酸化物質を補給するだけではなく、身体自身の抗酸化能力を高める仕組みを動かしているのです。
さらに炎症シグナルを抑制したり、細胞内でエネルギーを作るミトコンドリアの働きをサポートしたりすることも知られています。
私自身、この仕組みを知った時に「元気な人ほど結果を出す理由」が少し見えた気がしました。
元気な人は回復能力が高い
ボディメイクは短距離走ではありません。長距離走です。
1回だけ頑張ることは誰にでもできます。難しいのは、それを何ヶ月も何年も継続することです。
例えば週4回トレーニングする人がいたとします。毎回しっかり回復して高いパフォーマンスを発揮できる人と、疲労が蓄積して徐々に質が落ちていく人。半年後には大きな差になります。
扱う重量。トレーニングボリューム。筋肉量。体脂肪率。全てに差が出ます。
私が見てきた中でも結果を出している人は、特別なサプリメントを使っているわけではありません。ただ回復能力が高い。
元気だから動ける。動けるから消費できる。回復できるからまた追い込める。その好循環を作れています。
ミトコンドリアが元気さを作る
もう一つ面白いのがミトコンドリアとの関係です。
ミトコンドリアは細胞内でエネルギーを生み出す工場のような存在です。人間の身体はエネルギーがなければ動きません。どれだけ筋肉があっても、エネルギーを作れなければ活動できません。
NRF2はミトコンドリア機能の維持にも関与していると考えられています。つまり、
- エネルギー産生の向上
- 活動量の向上
- トレーニングの質の向上
- 身体の変化
という流れの土台を支えている可能性があります。
元気な人は根性があるから元気なのではなく、細胞レベルでエネルギーを作る能力が高いのかもしれません。
NRF2を活性化する食品
では具体的に何を食べれば良いのでしょうか。
代表的なのがスルフォラファンです。スルフォラファンはブロッコリースプラウトに豊富に含まれており、NRF2活性化成分として非常に有名です。私自身も積極的に取り入れています。
目安としては1日ひとつかみ程度、約30〜50gを週3〜4回ほど。サラダに加えるだけなので手間もかかりません。
もう一つ注目されているのがアスタキサンチンです。アスタキサンチンは鮭やエビなどに含まれる赤い色素で、非常に強力な抗酸化作用を持っています。特に紅鮭は手軽に取り入れやすく、1切れ約100gで3〜4mg程度のアスタキサンチンを摂取できます。
目安としては週2〜3回程度。普段の食事に取り入れるだけでも十分です。
タイミングも難しく考える必要はありません。特にトレーニング日やその翌日に取り入れることで、回復をサポートする一つの手段になるでしょう。
まずは身体を守ることを考える
筋肉を増やしたい。脂肪を落としたい。そう考えると、どうしてもトレーニングや消費カロリーばかりに目が向きます。
しかし身体は機械ではありません。壊れたまま走り続けることはできません。
結果を出している人ほど、よく寝る、よく食べる、よく回復する、という当たり前のことを大切にしています。
NRF2は魔法のスイッチではありません。活性化したから急に筋肉が増えるわけでもありません。しかし身体を守り、回復し、継続するための土台として非常に興味深い存在です。
まとめ
これまで200名以上のクライアントを指導してきて感じるのは、結果を出す人ほど元気だということです。その元気さは単なる精神論ではありません。高い回復能力です。
そしてその回復能力を支える仕組みの一つとして、NRF2という考え方は非常に面白いと感じています。
筋肉を増やすことも、脂肪を落とすことも、まずは回復できる身体があってこそ。高強度のトレーニングをしっかり血肉に変えるためにも、
- 炎症を抑える
- 酸化ストレスをコントロールする
- 回復能力を高める
という視点を持ってみてください。
結果を出す人は特別な才能があるのではなく、結果を出し続けられる身体を作っているのかもしれません。